『植物ホルモン』って聞くとなんか難しいものに聞こえますが、いろんな種類がその辺のホームセンターにも売っています。
果樹だと種無しを作るのに使われていたりしますね。あとは、挿し木などの発根・発芽促進などの目的として使われることが多いです。多肉植物にも使えます。
また、植物の無菌培養などでは植物ホルモンはとても重要な成分となります。植物ホルモンがないと一般的な植物は断片から植物体に再生できません。
⇒【組織培養で大量増殖!】植物の無菌操作に必要な道具の種類と価格を簡単に説明。
ここでは植物ホルモンの種類や、実際にそのままでは葉挿しが難しい斑入り多肉植物に使ってみた例などを説明しています。
植物ホルモンの種類
植物ホルモンは人によって入れる範囲が違う感じもしますが、最近主とされているものは以下の6点でしょうか。ブラシノステロイドも入るようになってる感じですね。
・オーキシン
・サイトカイニン
・ジベレリン
・エチレン
・アブシジン酸
・ブラシノステロイド
これ以外に、サリチル酸やジャスモン酸など他にも植物ホルモンとされるものがあります。また、植物ホルモンの機能を書き出すのは器官や生育段階によって異なり大変ですので省略します。
植物ホルモン系資材
趣味の園芸で使うレベルの植物ホルモン系の資材はホームセンターで購入できます。農薬と一緒に置かれています。以下に多肉植物でも使えそうな試薬をのせておきます。
ルートン
発根促進材として使用するホルモン系資材です。アルファーナフチルアセトアミドが入っているオーキシン系の薬品となります。
2.4ジクロロフェノキシ酢酸(2.4-D)
オーキシン系の物質です。本格的に培養する人はこちらを使用するといいですね。
オキシベロン
インドール酪酸が入っているオーキシン系薬剤です。発根促進剤として使われます。
ビーエー液剤
ベンジルアミノプリンというサイトカイニン系の物質を含む薬剤です。液剤なので利用しやすいです。発芽促進剤として使用できます。
多肉植物と植物ホルモン
多肉植物は簡単に葉挿しで発根・発芽し、増やすことが可能なものもあります。しかし、葉挿ししても根しか出なかったり、挿し木しても発根が難しいものもあります。
そういったときに植物ホルモンを使用することで増殖を容易にすることができそうです。
培養まで含めても、オーキシン系とサイトカイニン系の資材があれば十分だと思います。あとは濃度の振り方とどの段階で与えるかをしっかり試験する必要性がありますね。
高価な苗木はなかなか買えないし、なかなか販売されなかったりします。うまく増やして枯れた時の予備を作っておきたいですね。
発芽剤の使用例
今回は発根はするが、発芽が難しい斑入りのエケベリアに使用してみることにしました。購入したのは発芽促進用の『ビーエー液剤』です。
濃度を振り試験したいところですが、今回は試しに100倍希釈のみで行います。少量抽出用の注射器と量が測れる容器を準備しました。
今回は簡単に準備しましたが、本格的にやるなら金属を使わないシリンジを使ったり、容器もガラス製の遮光容器やアルミでおおうなどの工夫をしたものを使用したほうがいいです。
注射器で1mlとった薬剤を99mlに近い量の水を入れた容器に入れます。少しかき混ぜこれで準備完了です。
今回は、エケベリアのバークレー錦の葉挿しなどに薬剤をつけてみました。発根なしと発根済みのものでどう変化していくか様子をみていきたいと思います。マジックでマークしておくと区別が楽ですね。
発根剤の使用例
胴切りした斑入りエケベリアが発根しないため、発根剤(ルートン)を使用することにしました。発根しなかったのは『ティッピー錦』と『ピーコッキープルート錦』です。
ルートンは小さなプラスチックビンのタイプを購入しました。中には粉状のルートンが入っています。
ルートンはカットした後にすぐにつけるべきです。しかし、今回は再度カットするのは怖かったため、葉を少しとりその切り口周辺にもつけることにしました。
古い切り口にもルートンをつけて、噴霧器で水をかるくかけて浸透するようにしてみました。これで様子を見たいと思います。
植物ホルモンを学ぶ
植物ホルモンについて基本からわからないと言う人には、本を買って読むことをオススメします。私は元大量培養系の研究を行なっていたこともあり、初心者向けの細かな説明を飛ばしていたりすると思います。
ネットでの情報は間違った情報があったり、その人に合ったレベルでの情報を見つけるのが難しいです。まずはしっかりまとめられた専門書を読むことをオススメします。
まとめ
植物ホルモンは増やしにくい植物をあつかうときに役立ちますね! ただ、条件を確立させるまでが少し大変そうです。
高価な多肉植物は枯らしてしまうとダメージが大きので、しっかり増やして予備をとっておきたいものですね。斑入り植物やアガベのような増やしにくい植物にうまく使っていきたいものです。