アントシアニンが豊富に含まれていることで話題になりましたけど、それだけじゃないブルーベリー。
味も美味しいし、花もスズランの花みたいでかわいくて観賞用にもいい植物ですよね。家庭でもポイントをおさえれば育てやすくて非常に優秀な小果樹です。
ですが、栽培にはいろいろ注意しなければいけない点があります。そんなブルーベリーの育て方や増やし方などをラビットアイ系ブルーベリーを中心にまとめています。
ハイブッシュ系ブルーベリーやサザンハイブッシュ系は温かいエリアへの環境耐性が弱く収穫量も低いため、現在はラビットアイのみにしぼりました。
ブルーベリーとは?
ブルーベリーはツツジ科 ススキ属の落葉果樹です。アントシアニンを含む植物として有名になりましたよね。
ブドウを小さくしたような濃いブルーの果実をいっぱいならせます。地下からどんどん新しい芽を出しますが、周囲にあまり広がっていくことはありません。
主にラビットアイ・サザンハイブッシュ・ハイブッシュの3種があります。
強いラビットアイを台木にしてサザンハイブッシュやハイブッシュを接木している苗も色々出回っています。
ブルーベリーはいい品種の完熟したものが美味しいので、ほんとうの味わいを楽しむなら家庭で育てるか観光農園に行くのが一番ですよ。
気候に合った系統選定
ブルーベリーにもいろんな系統があります。
・ミカンが取れるような温暖なところであれば『ラビットアイ』
・寒いとこなら『ハイブッシュ』
・暖かいところでハイブッシュのように速くとりたいときの『サザンハイブッシュ』
地域にあった系統を育てるのが無難ですし、その中の系統で糖度が高い・皮が薄い・種が少ないなど好みのおいしさを持った品種、または育てやすい強い品種を育てるのがいいですよね。
ブルーベリーの品種と苗
上記のように主に3つの系統がブルーベリーにはあります。それらのいくつかの品種を以下に示します。
ハイブッシュ系
寒いエリアで栽培したいハイブッシュ系。土壌もしっかり調整したほうがよい品種です。大玉系だけ記載します。私は温かいエリアに住んでいるため栽培しません。
チャンドラー
500円玉サイズも収穫可能と言われる超大型果実品種。
ダロウ
こちらも500円玉サイズと呼ばれる品種です。
スパルタン
上記2つよりはサイズは劣るものの、よく名前を聞く品種です。
サザンハイブッシュ系
暖かいところでハイブッシュのように速くとりたいときに使えるサザンハイブッシュ系。これとラビットアイ系を組み合わせることで長期果実が楽しめます。
果実の果皮も薄く、渋みも少なくておいしいです。しかし、ハイブッシュの血を引いているためやはり土壌条件を選ぶ品種で、雑な栽培では以下の写真のように生育が悪いです。
5年以上鉢植えしてもあまり大きくならないため、枯れてもいいので地植えにしてしまいました。
果実は早いもので5月末ぐらいから青くなり始めます。長期収穫を楽しみたいのであれば植えるべきですが、個人的にはラビットアイだけでいいかなと思っています。
オニール
早くから取れて味も良いがちょっと栽培が難しい品種。
ジョージアジェム
直立性のサザンハイブッシュブルーべリー。無難な一品。
ミスティー
サザンハイブッシュの中では収穫量が多いと言われる品種。
ラビットアイ系
ミカンが取れるような温暖なところであればラビットアイ。強健で栽培が楽。土壌もある程度排水性があり、西日が当たらないようなところであれば、どんどん大きくなっていきます。
天候やエリアにもよりますが、お盆など夏休みシーズンに果実が取れるのもいい点です。
ティフブルー
昔ながらの品種だが評価が高い品種。裂果が気になるがいい品種とのこと。
パウダーブルー
ティフブルーの交配品種。サイズが少し小さく酸味がでるが、裂果のリスクなどが抑えられる。
ノビリス
劣化が少なく受精も強くいい品種とのこと。しかしながら、味は好みが別れる品種とも言われる。完熟しないと味はイマイチだが、熟すとコンコードグレープが好きならきっと好きになる感じの味になる。
バルドウィン
時期は最晩生種に入る。受粉にはティフブルーやパウダーブルーと一緒に植えると良いとのことでしたが、ノビリスやデライトの混植でも結実しました。
種が多いけど、甘味があり食べやすい。ラズベリーが好きなら合いそうな感じですね。
デライト
個人的にはオススメの品種。時期は遅いが甘くて少しぐらい未熟でも美味しく食べれる品種。
今年は豊作で大量に果実が取れました。ですが不作の年もあります。
またデライトはおいしいのですが斑点が出る時があります。これは食べることに問題はありませんが、見た目を気にする方は避けた方がいいですね。
また、ブルーベリーは木が広がって育つ開帳性のものと、上に向かってそだつ直立性のものがあります。
デライトは直立性のブルーベリーなので、以下の写真のように誘引しないと果実が取りづらいです。結構強めに誘引しても枝は折れませんよ。
ブルーベリー品種の詳細
ブルーベリーの品種について詳しく知りたい場合には、以下のサイトが詳しく載ってて便利ですよ。
ブルーベリーの斑入り品種
ブルーベリーにも斑入り品種があります。現在は販売されていないようですが、『スノーフレーク(Snowflake)』という品種です。
ですがこれは国内だけで通じる名前で、海外ではすでに別の『スノーフレーク』と呼ばれる品種が登録されています。
この品種はラビットアイ系ですので、暖かいエリア向けの品種です。斑入りですが収穫期は早く、ラビットアイ系の中では極早生の部類に入るようです。
また、斑入りですが樹勢も強い上に病気にも強く、栽培が容易だとのこと。ぜひ手に入れて栽培したい品種ですね!
『斑入り』についての説明や、他の斑入り植物については以下の記事で説明しています。
梅雨を避けるならこの品種!
ブルーベリーは梅雨の時期に果実が熟すと虫が来るし、収穫もしづらい。だから7月下旬ぐらいから収穫できる品種を探しました。
デライトがちょうどいい品種で昔から庭で育っていたけど(収穫は早ければ7月中旬から)、それに合う品種が欲しい。というわけで木が強く果実の裂果がすくないノビリス(T-100)を合わせました。
味はクセがあるとのことでしたが、熟したら普通においしい品種だったので満足です。人によってはバルドウィンや新品種のほうがいいかもしれませんね。
植物研究家
以下はデライトの果実変化ですが、ちょうど熟す時期が同じぐらいでよかったです。
家庭で楽しむなら大苗が販売されているデライトとノビリス、あとは花粉が心配であればバルドウィンなどがあるといいですね。
植物研究家
ブルーベリーの栽培
ブルーベリーの栽培で気をつけたい部分についてまとめました。ラビットアイ系であれば排水性があり、西日さえあたらなければ結構楽に栽培ができますけどね。
適切な土壌作り
ブルーベリーと言えば酸性土壌!! そして通気性を良くするためにピートモスをしっかり入れよう!!
そんな感じでよく載っていたためとりあえず大量にピートモスを入れておいて失敗した人も結構いるのではないでしょうか?
ピートモスは水分を吸うまでが大変ですし、乾燥しやすいですよね。ブルーベリーは水分管理が重要な植物なので乾燥させてしまうと枯らしてしまいやすいですよね。
特に夏場!!点滴で水をあげれるか乾燥したら水をあげれる状態になっていればいいけど、家庭菜園でそこまで設置するのはそなかなか難しいですよね。
また、肥料のやりすぎにも注意しましょう。個人的には特に地植えの場合、寒い時期に有機質肥料を与えておくだけで十分だと思っています。
→多肉植物におすすめの肥料をマグアンプを中心に紹介! 種類や効き方の説明
手を入れれなくて果実をならせすぎた場合は収穫後に施肥してもいいかもしれませんが、あまり肥料はやりすぎない方がいいと思っています。
ピートモスって必須?
ハイブッシュならまだしもラビットアイ系統などの強い品種ではあまりピートモスを大量に入れる必要性はないと思っています。
土壌にある程度湿度と通気性があり午後から日陰になるようなところであれば少し、もしくはなくても家庭菜園レベルならきちんと育ちます。
暖かいエリアだと無理してピートモスを入れすぎると、土壌が乾燥しやすく管理が大変になってしまいますよ。
排水性などを保つために鹿沼土などを入れ、ピートモスでpHを調整する。そしてバークなどで表層の乾燥を抑えれば十分だと思います。
また、硫黄粉末剤でpHも調整する場合もありますが、初期にあまりにブルーベリーにとって過酷な状態であれば土壌改良のためにいろいろと資材をすこし加えることをお勧めします。
虫の対策(消毒)
ブルーベリーを栽培していると虫の恐怖があります。
もっとも大変なのはイラガの幼虫と、ハチですよね。どちらも刺されると大変です。
特にイラガの幼虫は果実を取るときに知らないうちにさわってしまい痛みが長い間とれなくなります。
農薬を使える道具がある方はデルフィンという農薬を使うといいです。
→家庭菜園や室内のインドアガーデンにおすすめの農薬や殺虫道具をまとめたよ。
ブルーベリーの花
ブルベリーは以下の写真のようにスズランのような白くてかわいい花をいっぱい咲かせます。
拡大するとこんな感じです。かわいくていい感じですよね。ブルーベリーは果実だけでなく観賞用としてもいい果樹なんです。
以下の写真は『ノビリス』という品種の花。花が長細い感じなっています。
こちらの花は『デライト』という品種の花。個人的に一番好きな味のラビットアイブルーベリーです。
小鳥とハチの対策
小鳥が食べに来て風流だなって感じで楽しむのであればいいですが、おいしい熟した果実を食べようとするなら負けてはいられません(`・ω・´)キリッ
速く食べればいいのですが、青くなったばかりの果実は味がまだまだなんですよね。それでも鳥は食べちゃいます。
鳥がくるのも楽しみという人ならいいけど、そうではなければネットや透明なラインを張ったりなどの工夫が必要です。
果実が熟成してくるとハチも増えてきます。山近くで観光農園を行う場合は、しっかりと細かなネットをしないとハチに刺されて大変なことになるかもしれません。
ブルーベリーの増やし方
ブルーベリーは挿木か株分けで増やすことができます。以下に簡単にまとめますね。
ブルーベリーの挿木
ブルーベリーの挿木は緑色の太めの枝をカットし、鉢に入れた小粒の鹿沼土にピートモスを加えたものに挿しておけば芽が出てきます。
完全に木質化した部分は流石に芽を出すのは難しい。以下のように部分的に木質化している感じの枝であれば芽が出てきます。
個人的には混ぜる割合は鹿沼度3〜4:ピートモス1ぐらいの割合がいい感じ。ピートモスが多すぎると乾いた時に大変です。
ブルーベリーの株分け
ブルーベリーのひこばえを掘り起こして株分けします。植えてから年数が経過すると以下の写真のように結構ひこばえが増えてきます。
ですが、いきなり土壌に植え付けると以下のように根が少ないので枯れてしまいがちです。
半年ぐらい鹿沼土にピートモスを加えた培地で根を増やしてから植え付けるというような感じにした方がいいですね。
ブルーベリーの青果系製品
青果を利用している商品をまとめてみました。
国産冷凍ブルーベリー
ブルーベリーピューレ
ブルーベリーパウダー
まとめ
まぁ、いろいろ大変な面もあるけどブルベリーってかわいくておいしくていい感じの植物ですよね。自分で育てると本当に熟成した甘い果実が食べれるのもいい点です♪
大変だけど果樹栽培を楽しむ余裕がある人にはお勧めの果樹です(*´ω`*)
あと、ブラックベリーやラズベリーを一緒に植えたりすると、いろんな果実を楽しめておもしろいですよ。